相続手続きにおける遺産分割協議について

相続手続きをスムーズに行うために、おおまかな流れを相続人全員が理解しておくことが極めて重要です。
なぜなら手順の中には被相続人の死亡日から数えて期限があるものがあるからです。
まず第一に確認しなければならないのは、故人(被相続人)が負の遺産を持っている(借金がある)かどうかです。
相続人は負の遺産について相続放棄することができますが、基本的に相続の開始した日から3ヶ月以内に届け出なければならないからです。
また、故人の確定申告を代わりにしなければならない時は4ヶ月の制限時間が設けられています。
最後に相続税の申告が必要な場合には、10ヶ月以内に手続きしなければなりません。

この3つをまず確認します。このほかの手続きは急ぎませんが、時間をかけるだけ相続人の集中力も落ちてきますし、費用もかかります。
遺言書の有無を確かめたら、段取り良く相続手続きを進めましょう。
相続権のある人が確定し、財産を調査します。もし遺言書が無く、複数の相続人が共有名義の相続をしない場合は遺産分割協議をします。
後々のトラブルを避けるためになるべく共有名義での登記は避けることをお勧めします。
相続人全員の同意の元で遺産分割協議が行われたら、それぞれの相続人が単独で不動産の名義変更などを行うことができます。

 

遺言書のない遺産相続が骨肉の争いになりやすいのはなぜでしょうか。
相続人が一人でも財産の全体像を把握できていないと不安と不公平感がどんどん膨らみ感情的になってしまうからです。
全ての相続人が出席のもと、調査して明らかになった全ての相続財産を話し合いで分けていくのが、遺産分割協議です。
一人もかけてはなりませんし、一つの隠し財産があってもいけません。もし、財産の調査が難航するようなら行政書士に頼むとスムーズです。
また、話し合いの場に現れない人が一人でもいれば弁護士を入れて裁判、調停に移行することになります。

また、相続財産で一番多い形が不動産であることも相続トラブルが多いことの原因の一つです。
不動産を分けにくいからといって共有相続にしておくと後々争いの元になります。不動産を分割する方法は3つあります。
一つ目は分筆です。番地にもう一つ下の位を設け持分移転登記をします。
二つ目は不動産を売却して得た現金を分ける方法、三つ目は一人が不動産を相続し残りの相続人に現金を払い調整する方法です。
どの方法をとるか決まらない場合にはやはり客観的、法的なアドバイスをもらうため行政書士に立会ってもらい遺産分割協議を進め、遺産分割協議書を作成することになります。

 

相続における遺産分割の手順は箇条書きにすれば大変シンプルです。
しかしそのどの手順にも相続人の認識の違いなどから起こる様々なトラブルが潜んでいます。もっとも揉めやすいのが遺産分割協議です。
どうしても話し合いが付かなければ遺産分割調停になるのですが、中には3年以上かかるケースもあります。
近年では長期化する傾向が一層強くなってきました。相続人は何度も裁判所に通わなければなりませんし、争っても取り分が大きく増えることもありません。
ただ費用ばかりがかさみ、いがみ合いが度を増すばかりです。なるべくなら調停を避けたいものです。

遺産分割協議をうまくおさめるのにはコツがあります。相続人が少しずつ譲り合うことです。
囲碁を例にとると対局者が全ての碁盤の局面で勝とうとすると最終的に大負けすることになります。
ある隅を確保したらもうひと隅は譲る、そうして進む対局は半目程度の差で勝負が付きます。
相続は勝ち負けを争うものではありませんから、最終的に半目程度の差ならば遺産相続協議は大成功と言えるでしょう。
また、遺産分割による相続手続きにはたくさんの書類が必要になります。耳慣れないものも多いので相続人が確定したら早めに全員で確認することをお勧めします。