前妻の子供がいる場合の相続手続き
遺産相続の権利は配偶者やその子供にありますが、これは死亡時の状況に限定されず、故人の戸籍を全て遡り権利のある人物全員の特定が行われます。
そのため当然前妻の子供であっても権利が発生するため、相続手続きが必要になります。
しかし、一般的に離婚後に離れ離れとなった父親や母親と連絡を取ることはあっても、その新たな配偶者や子供とは密に連絡を取ることはあまり考えられません。
そのため実の父親や母親が死亡した際に勝手に相続の手続きが完了してしまわないか心配される方が多いのですが、基本的にはそうした事は不可能です。
相続手続きの際には故人の生前の記録が全て記載されている戸籍謄本を用意する必要があります。そこには当然前妻の子供の名前も記載されているので、相続手続きの際には全ての情報が明らかにされます。そして明らかになった法定相続人全ての署名と捺印、さらには印鑑証明書まで必要となるので知らないうちに相続が終わっていたということは基本的にはありません。
ここで基本的にと書いているのは、故人が生前に遺言等で後妻とその子供だけに相続を限定すると示した場合では、ケースバイケースですが相手方で相続が完了することもあります。
しかし、こうした生前の遺言も法定相続人であれば事前に検索し閲覧することが可能なので、多くの場合ではこうした知らないうちに相続が終わっていたということは起こりません。
ドラマやドキュメンタリーなどでよく目にする光景として、遺産相続のトラブルがあります。実際にはこのような泥沼化するケースは少ないのですが、ごくまれに弁護士などに持ち込まれるトラブルで複雑化する場合があります。
よくドラマでも衝撃的な事実として描かれることですが、故人に前妻がおり前妻の子供が相続の権利を訴えてやってくるというシーンです。これは何もドラマやテレビだけの話ではなく、離婚率が上昇している現代では現在進行形で起こっていることで、今後も頻繁に相談が増えると予想されています。
こうしたケースが判明する理由としては、遺産の相続手続きの際には故人の戸籍を取り寄せる必要があるため、ここで故人の前妻や子供の有無など全てが明らかになるためです。
そして遺産相続を滞りなく行うためには法定相続人全ての署名と捺印、印鑑証明書が必要となるためこうした前妻の子供にも遺産分割協議に参加してもらう必要があるのです。
感情的には突然現れた前妻の子供に父親・夫の遺産を相続させるのは抵抗があるかも知れませんが、法的には死亡時の妻と子供と全く遜色なく権利を有するので、遺言など特別なケースが存在しない限りは必ず連絡して遺産分割協議に参加して相続手続きを行う必要があります。
法的に遺産を相続する権利がある人物は配偶者や子供などが当てはまりますが、これは亡くなった当時の家族構成だけでなく、故人の生前を遡り前妻の子供にも法的な権限が存在します。こうした前妻の子供が法定相続人として登場するケースは、離婚率が上昇している現代では比較的よく起こる問題として弁護士などにも相談が寄せられます。
遺産を相続する際には相続手続きとして法定相続人全ての署名と捺印・印鑑証明書を提出する必要があるため、勝手に手続きを進めることも進められることもありません。
そのため前妻との間に出来た子供で、例え何年も故人と会っていない場合にも法的に権利を持つ相続人として登場するのです。しかし、いくら法律で権利が認められているとは言え、故人の心情としては新たな再婚相手の元で暮らし子供よりも、現在の妻と子供に財産を残したいと考えるのはよく起こることです。
そのため前妻の子供への相続を回避する手立てとしては、生前に遺言で再婚後の妻と子供に全財産を相続させるという旨を記載しておくことです。こうする事で現在の妻と子供が不利益を被ることを回避することが可能で、手続きによってはこうした遺言だけで金融機関から遺産を引き出すことも可能なので、相続手続きの多くのトラブルを未然に防ぐことが出来ます。