子供がいない場合の相続
子どもがいない場合の法定相続人
子供がいない場合の相続についてなのですが、基本的には配偶者が法定相続人となります。
しかしながら全財産を相続できるわけではなく、配偶者の親が生きている場合にはその親が共同相続人となります。
また被相続人の両親が死亡している場合には、被相続人の兄弟姉妹が配偶者とともに共同相続人となります。
そして兄弟姉妹が死亡している場合におきましても、その子供が存命であれば代襲相続によりまして共同相続人となります。
これらの共同相続人における相続分は民法第900条で定められており、被相続人の親へは全財産の3分の1が相続分であり、両親とも死亡していた場合における兄弟姉妹への相続分は4分の1ということが定められています。
そして兄弟姉妹が複数いる場合には4分の1をさらに等分することになり、また代襲相続でその子供へ相続権が移行する場合にはさらに子供の人数に応じて等分されます。
つまり被相続人の親が存命であるならば配偶者の相続分は全財産の3分の2となり、親が死亡している場合におきまして兄弟姉妹がいる場合には、配偶者の相続分は全財産の4分の3となります。
子どもがいない場合の相続の注意点
子供がいない場合における相続には、注意しなければならない事項がいくつかあるとされています。
それは共同相続人が存在していることにより、配偶者が勝手に財産の処分や換金ができなくなってしまう場合があるのです。
また遺産となる財産がほとんど住宅およびその土地であった場合には、共同相続人の要望により売却を検討しなければならない場合も出てきます。
さらに被相続人名義の預金口座に関しても、払い戻しを行う行為自体を配偶者が勝手に行うことができず、共同相続人との遺産分割協議書による確認が必要です。
もちろん道義的に考えて兄弟姉妹が相続を望まない場合もあるのですが、そのような場合においても配偶者が全財産を相続することが記載された遺産分割協議書が必要となりますので、離れて暮らしている場合や、兄弟姉妹が死亡している場合にその子供と音信不通となっている場合には煩雑な作業となってしまいます。
もしこれらの手続きを省略して財産の処分および名義の変更を勝手に行ってしまいますと、後に裁判などを起こされて大変やっかいなことになってしまう場合もあります。
しかも共同相続人と以前から仲が良ければまだしも、不仲の場合には遺産分割協議自体、非常に骨の折れる作業となることが予測されます。
子どもがいない夫婦の相続対策
この遺産となる相続財産に関しては、元来被相続人が結婚前に築いてきたものであったり、被相続人側における先祖からの財産であるならばまだ納得できる余地があるのでしょうが、結婚後に夫婦で築き上げてきた財産に関しても分割対象となってしまうのは、配偶者としては大変辛いことかもしれません。
そのために、子供がいない夫婦におきまして相続における対応策を事前にとっておく必要があるとされているのであります。
その対応策とはお互いに遺言書を残しておくことであり、配偶者へ財産の全てを相続させる旨を遺言しておけばこれらに対する不安がなくなることとなるのです。
ただし配偶者の両親には遺留分による権利がありますので、その点は注意しなければなりません。
しかしながら自動的に共同相続人となるわけではなく、遺留分の権利主張が無ければ遺言書通りに配偶者が全財産の相続を可能となります。
それから被相続人の兄弟姉妹には遺留分が一切ありませんので、この点に関しても遺言書が存在していれば安心です。
これらのことから、子供がいない夫婦の場合には専門家を介して遺言書の作成をしておくことが重要です。