生前贈与-相続の基礎知識

生前贈与の検討

消費税を含め、世の中の流れが大増税に向かっていることは世間の共通の認識と言えます。負担感が増している中で今後注目されるのは間違いなく相続税の増税です。全世帯の2割以上、都市部では半数の人が相続税の申告を必要とするという意見も耳にします。これまでは相続税と比較すると贈与税のほうが税率は高くなるので相続時を想定した資産の移転が行われてきましたが、最近は相続税の非課税枠の活用による節税対策が検討されることも多くなりましたので、検討してみてはいかがでしょうか。ただし、生前贈与は相続時に相続財産とみなされてしまう可能性もありますので専門家の指示に従って適切に行うことが重要ですのでご注意ください。

贈与税

贈与税とは

生前贈与とは子供や孫または法定相続人以外の人に何らかの援助をすることを言います。決められた額を超えると贈与税が掛かりますが、冒頭でも説明したように相続税と比べると税率はかなり高いものです。また、贈与税の課税の方法には暦年課税制度と相続時精算課税制度があります。

2015年1月1日以降の贈与税の税率

一般贈与財産 特例贈与財産
基礎控除後の課税価格 税率 控除額 税率 控除額
~200万円以下 10% - 10% -
200万円超~300万円以下 15% 10万円 15% 10万円
300万円超~400万円以下 20% 25万円
400万円超~600万円以下 30% 65万円 20% 30万円
600万円超~1,000万円以下 40% 125万円 30% 90万円
1,000万円超~1,500万円以下 45% 175万円 40% 190万円
1,500万円超~3,000万円以下 50% 250万円 45% 265万円
3,000万円超~4,500万円以下 55% 400万円 50% 415万円
4,500万円超~ 55% 640万円

特例贈与財産とは20歳以上の子または孫が直系尊属から受けた贈与財産のことで2015年1月1日から一般贈与財産と分けて計算します

暦年課税制度

贈与税については基礎控除がありますので、その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産の合計額が110万円までであれば贈与税は掛かりません。また、申告も不要となります。この暦年課税は理論的には10年続けると1,100万円相続財産を減らすことができるので使う方も多いのですが、多額の贈与を分割して行っているだけと税務署にみなされる場合もありますので、利用する際には、専門家の指導のもと、慎重に行う必要があります。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは相続税と贈与税を一体化させた課税で、60才以上の父母・祖父母から20歳以上の子に贈与する場合は選択できる制度です。こちらを一度選択すると相続時まで継続し、暦年課税制度は選択できません。相続時に清算することを前提に2,500(住宅取得資金等の場合は3,500万)までの贈与が非課税扱いになります。これを上回ると一律で20%の課税がされます。相続時には相続財産に相続時精算課税制度を利用して贈与された財産を加算して計算されたものが相続税の対象になります。

相続時精算課税制度は2015年1月1日以後の贈与から、贈与者の年齢が60歳以上に引き下げられました。また、贈与者に祖父母が加えられました。さらに受贈者の範囲に、新しく20歳以上の孫が加わりました。

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