相続手続き基礎知識
①遺産分割協議の必要性
ある方が亡くなった人場合、そしてその方に遺産があった場合、その相続が問題となってきます。
もし、その方が遺言書を残していた場合というのは、その遺言書によって財産の分割をするようになります。しかし、そういった遺言書がなかった場合には、その遺産の分割について、決める必要がでてきます。
また、たとえ遺言書があったとしても、その遺言書にすべての遺産についての記載があるとは限りません。もし、遺言書に記載のない遺産が出てきたような場合には、やはり、その遺産をどうやって相続人で分けるか、というのを決める必要が出てきてしまいます。
そのように、遺言状がない場合、もしくは遺言書はあってもそこで相続が決まっていない財産がある場合に、相続人がどうその遺産を分けるのか、という事を決めるために、協議を行います。これが、遺産分割協議と呼ばれるものです。
分けるべき遺産があり、それが協議によって定められる場合、遺産分割協議が終わるまでの間は、その遺産は、共有財産となります。民法により、相続人が1人ではなく複数いる場合には相続財産はその共有に属する、という定めがあるため、相続人全員の共有財産として扱われるわけです。これをそれぞれに分割するために、遺産分割協議が必要となるのです。
②遺産分割協議の結果について
遺産分割協議においては、相続人全員の参加が条件となっています。そして、この相続人全員が協議して、納得したうえで、誰が何を相続するか、ということを決めていきます。
この協議の結果についてまとめた書類が、遺産分割協議書となってきます。この遺産分割協議書が出来上がることで、相続財産が決着するというわけです。
遺産分割協議の内容を記したものが遺産分割協議書となります。遺産分割協議書には決まった書式はありませんが、遺産分割協議で確定した内容が明記されていること、そしてそれを、全ての相続人が確認し、署名捺印してはじめて、遺産分割協議書として成立するようになります。これによって、相続開始時点では相続人の共有物状況だった遺産は、相続人に分割される個人所有物になります。つまり、相続人は、それぞれ個人の所有物として、他の相続人の同意がなくても、自由にそれを売ったりする事がでるようになるわけです。また、その相続において不動産の名義変更などが必要となってくる場合、そういった手続きの際にも遺産分割協議書を添付書類として提出したりするようになります。
遺産分割協議書を作成しない場合、というのもありますが、特に相続人が複数であったり、相続財産が不動産などであるような場合には、遺産分割協議の結果について、明確に確認できる書面として、遺産分割協議書があると安心だといえるでしょう。
③遺産分割協議の成立について
遺産分割協議を開催するにあたっては、絶対的な条件があります。それは、相続人全員が参加する、ということです。たとえ、相続人が子どもであったとしても、不参加でよいというわけではありません。また、相続人が行方不明であったり、連絡がつかないような場合でも、その人が不参加のままでよいということはありません。そういった状況では、遺産分割協議は成立しない、ということになっています。
もし、未成年者が相続人であるような場合には、代理人を立てるようになります。生まれる前の胎児が相続人であれば、生まれてから、その赤ちゃんに代理人を立てて、はじめて遺産分割協議が開催できるようになるのです。そうではない場合には、遺産分割協議は無効となってしまいます。また、行方不明だったりする場合には、家庭裁判所などを通して法的な手続きをする必要があります。
ただ、遺産分割協議をするにあたって、全員が物理的に集まる必要がある、というわけではありません。実際、日本全国にいる相続人が全員集まって話し合う、というのは、現実的に難しい場合も多いでしょう。
そういった場合には、事前に内容を全員が確認し、その上で遺産分割協議書を作成の上、全員が確認の上署名捺印をする、という形でも手続き上は可能です。
ただし、遺産分割協議書への署名は自書での署名となります。また、実印での押印と、印鑑証明の提出も基本的には必要となりますので、その点も事前に確認するようにしましょう。
①不動産の相続 相続登記について
亡くなった方から相続する遺産にも、色々な種類があります。現金預金の場合もあれば、不動産の場合もあるでしょう。現金預金の場合よりも、不動産の方がより相続の手続きが複雑だとも言われます。それは、相続登記が必要となるからです。
そのため、現金預金の相続であれば不要であっても、不動産相続の場合には、司法書士などに相談するという場合も多くみられます。
ある不動産が相続の対象となった場合、所有者が死亡し、相続が開始された時に相続人に所有権が移転するようになります。ただ、これだけでは、不動産の名義は、旧所有者のままです。
そのため、この名義を変更するために、相続登記を行うのです。
実際、古い名義のだと、相続をしたとしても、その不動産を売却する、担保に入れる、ということも実質できないわけですので、登記が必要となってきます。
このように、相続登記には、一定の手続きが必要になります。こういった登記手続きは、自分ですることも可能ですが、特に仕事などで時間のない方、登記の手続きなどに詳しくない方は、司法書士は弁護士に相談をしてみるとよいでしょう。相続登記に必要な手続きや書類、税金などに対応をしてもらえます。
②相続登記を自分でする場合
相続登記については、司法書士に相談をして手続きをする方が多いものです。ただ、もし、相続登記が複雑すぎるようなことがなければ、相続登記は自分ですることもできます。
自分でできるレベルの相続登記なのか、それとも司法書士に相談したほうがいいレベルのものなのか、というのは、一概こうと判断することはできません。
ただ、その複雑さをまず確認するためには、まず戸籍などを確認してみるようにしましょう。こうすることで、相続について関与してくる登場人物、すなわち相続人などを洗い出すことが必要となってきます。実際、こういった作業を行うなかで、はじめは基本的な相続で、そう難しいことはない、と思っていたものが、実は複雑だった、という事が判明してくる場合もあります。
これまで知らなかった親戚がいたり、ということも、少なくありません。そういった確認を経て、やはり自分一人の力で相続登記をするのが難しいかもしれない、と感じた場合には、司法書士であったり、弁護士などに相談してみるとよいでしょう。実際、相続登記は、内容によっては時間が思う以上にかかってしまう場合もあります。司法書士や弁護士に相談する際には、自分で確認をした戸籍などの資料も持参して相談するとより効率がよいといえるでしょう。
③相続登記の手続きの流れについて
相続登記を司法書士に相談するにあたって、まず自分でも、相続登記の流れを理解しておくことをおすすめします。たとえ自分で相続登記をしないとしても、どういった流れで手続きが進むのかを理解しておくことは大切です。また、最初の戸籍確認などについては、司法書士に相談をする前に、あらかじめ自分でも確認してみるのもよいでしょう。
まず、相続登記にあたって、登記事項証明書、戸籍、住民票、評価証明書等を取得します。こういった資料を集めることによって、所有権を確認し、相続人を確認していくのです。
こういった情報が確定したら、次に相続登記申請書類の作成をします。 相続登記申請書ができあがったら、実際に申請をしますが、これは郵送でも可能です。この申請先ですが、法務局となります。
相続登記申請書を提出するときに必要となるものとしては、登記原因証明情報や、住所証明情報、そして登記にかかる登録免許税等がありますので、事前に確認をしておきましょう。
また、この相続登記の申請について、法務局側での期限の定めなどは特にありませんが、遅くなってよいことはありません。時間があきすぎると、逆に手続きが複雑化してしまうこともあり得ますので、できるだけ早い申請をおすすめします。
人が亡くなると、お通夜やお葬式の後に資産の整理をする必要があります。亡くなった方の配偶者や子供、父母や兄弟は法定相続人の対象となり、財産を受け取る権利があります。亡くなった方の財産の配分は、法定相続といって目安となる割合が決まっていますが、これはあくまでひとつの基準なので、それぞれの家庭で法定相続人が相談したうえで、財産を分けるのが望ましい方法です。相続の手続きは、慣れていない人にはとても複雑で時間がかかる作業です。自分で相続の手続きをすることは可能ですが、「何をしたらいいのかわからない」とか「時間がない」とか「遺産分割でもめる原因になりそう」などの理由で、司法書士や税理士に相続に関する相談をする人が多いといわれています。司法書士や税理士などの相続のプロに相談すると、相続がややこしい場合にアドバイスや手助けをしてもらえることも大きなメリットです。例えば、相続人のなかに未成年者がいる場合の取り扱いや、相続人で連絡が取れない人がいる場合、また、個人名義の預貯金が凍結されて困っている場合や、残された資産のなかに不動産物件がある場合などです。プロに相続の相談をすることで、何かあって困った時にサポートが受けられるのが心強いですね。
相続の手続きの時、サポートを受ける専門家は司法書士、税理士、弁護士がいます。このなかで、弁護士は相続でもめた時の訴訟が主な業務になりますので、一般的にはあまり依頼することはないですが、不利な相続や、納得のいかない場合の交渉を担当する場合があり、司法書士と税理士では、専門分野に違いがあります。司法書士はもともと登記の専門家で、不動産を購入した時や名義を変更した際、司法書士に依頼する必要があります。相続の時は、故人名義の不動産の名義を変更するための業務を行います。それに対して税理士は税の専門家です。相続の際は、相続税の申告が主な業務です。司法書士は、この相続税申告ができないことになっているので、相続税の申告に関しては税理士に相談するのがよいでしょう。費用は、それそれの事務所などによって違いますので、サポート内容などをよく確認したうえで、見積もりをとる方法をおすすめします。最近では、インターネットのサービスが充実し、評判のよいところを捜したり、見積もり金額の比較が簡単にできるようになりました。初めは無料で相談できる場合が多いので、まずは気軽に相談してみてもいいですね。
相続手続きは、さまざまな業務がありますが、具体的にはどんな事をしなけれないけないのでしょうか。相続は、まず亡くなった方の財産を確認することから始まります。同時に、相続関係説明図の作成を行います。これは、法定相続をする権利がある人の戸籍を調べることで、故人との関係を明確にするのですが、相続の対象者の戸籍を全て調べて収集するというのが、とても大変な作業だといわれています。戸籍を変更している場合などは、さらに調査が複雑になります。この作業は、司法書士や税理士に相談することができるので、プロに依頼するのがおすすめです。これらの業務を相談、依頼する場合、税理士より司法書士に頼んだほうが費用を抑えることができる事が多いようです。相続関係図は揃ったら、遺産分割協議書作成になります。これは法定相続人がすべて揃い、話し合いで決定しますが、税理士のサポートがあるとスムーズにすすめやすくなります。その後、不動産の名義変更を司法書士に依頼し、その他の財産、たとえば自動車や株式の名義変更などが相続のすべてになります。相続は普段しなれない作業が多く、手続きも複雑です。よくわからないことや、ややこしい手続きだけでも司法書士や税理士などに相談すると負担をかなり減らすことができます。
①相続登記の種類
亡くなった方から不動産を相続する場合、相続登記が必要となってきます。相続した段階で相続人に所有権は移転するようになりますが、相続登記をしない間は、その不動産の名義は、被相続人のままとなってしまいます。
これでは、相続をしても、自由に売るなどのことはできませんので、不動産の相続にあたっては、できるだけ早期の相続登記が望まれるわけです。
この相続登記の種類ですが、基本的に3つの種類があります。ひとつめが、法定相続分どおりの相続登記、そして二つ目が、遺産分割協議による相続登記、そして三つ目が遺言書による相続登記または遺贈登記、です。
基本的には、相続登記申請書類を作成し、相続登記を法務局に対して申請する、というのが相続登記の大枠となりますが、この3つの相続登記の種類によって、必要な書類や準備すべきものも変わってきます。
こういった相続登記は、自分で行うこともできますが、時間に制限があるような方の場合には、司法書士に相談をするというケースも少なくありません。また、相続登記にもいくつか種類があり、相続登記の手続きが複雑になるような場合にも、司法書士や弁護士へ相談をしたほうが、より安心して相続登記をできるという場合もあります。
②相続登記のための確認事項
相続登記をするにあたって、事前に用意をしておくべき書類、申請の際に必要な書類といったものがあります。相続登記は、自分で行う事も可能ですが、こういった書類や手続きに洩れがあると、時間や手間が余計にかかってしまう場合もありますので、しっかりと確認をしておくようにしましょう。
相続登記において、まず必要なものが、登記申請書です。さらに、被相続人の除籍・改製原戸籍・現戸籍も必要となります。これは、被相続人の一生の間の戸籍関係を確認するためです。また、同時に、被相続人の住民票や除票など、本籍地の確認ができるものも必要となります。
そして、相続人についても書類関係が必要です。戸籍謄本・抄本については、相続人全員分が必要です。また、不動産を取得する相続人については、住民票も必要です。
さらに、相続対象となる不動産の固定資産税評価証明書も用意しておくようにします。
また、相続人に代理人がつく場合には、委任状なども用意しましょう。
こういったものは基本的なものとなりますので、相続登記の種類によっては、さらに追加の書類が必要となる場合もあります。
こういった手続きに不慣れな場合には、プロである司法書士などに相談をするのもよいでしょう。手続きにかかる時間や手間を軽減することが可能です。
③相続登記にかかる手続きについて
不動産などの遺産を相続した場合、登記手続きが必要となってきます。とはいっても、仕事などがある方であれば、どうしてもそういった相続関係の手続きというのは、後回しになりがちです。
しかし、相続登記をしないままだと、自分名義となっていない状態が続くことになってしまいます。また、相続人にさらに相続が発生していくなど、遺産分割がさらに複雑になる、というケースもあります。
こういった事態を防ぎ、できるだけスムーズに相続を進めるためにも、相続登記は早めに対応するようにしましょう。
相続登記の申請ですが、申請書を作成して登記所へ申請、というのが基本的な考え方です。しかし、実際、登記所という場所があるわけではなく、位置づけとしては法務省の下部機構として機能していますので、法務局に対して申請をするようになります。
また、かつてはこういった登記にあたっては、登記所に実際出向く必要がありましたが、今では郵送などによる書類申請が可能となっています。
とはいっても、登記書類の作成や、必要な添付資料の確認というのも発生してきますので、もし、そういった対応がすぐには難しい、という場合には、司法書士や弁護士に相談をしてみるとよいでしょう。
①遺産分割協議の基礎知識
遺産分割協議というのは、残された遺産を受け取る相続人が複数いた場合、それをどう分割するか、だれがどれだけ相続するか、というのを決めるための手続きの1つです。
遺産の相続については、民法において、裁判手続き、つまりは調停であったり、審判というかたちもあり、遺産分割協議は、その1つということもできます。
しかし、遺産分割協議というのは、この中でまず前提として位置づけられている点に注意が必要です。遺産分割を行うに当たって、裁判を行う事も可能ですが、まずは、遺産分割協議が必要となります。遺産分割協議をした上で、裁判、という流れとなるのです。遺産分割協議を行わないままで、最初から裁判手続を利用することはできないようになっています。
実際、遺産分割協議をした上で話がまとまらなかった場合には、調停や審判にステージを進める、というようになります。また、遺産分割協議は全員参加が必須です。一人でも相続人が参加しないと、遺産分割協議は無効となってしまいます。こういった遺産分割協議において、参加者がそろわなかった場合、というようなときに、調停や審判という手続きが可能となるのです。つまり、まずは、遺産分割協議、というのが、相続における大前提といえるのです。
②遺産分割協議のメリットについて
遺産分割協議をするにあたって、メリットもあればデメリットも有ります。メリットとしては、やはり、遺産分割において、比較的柔軟に決定できる、ということがいえます。
遺産分割協議というのは、たとえば法的な制限が多い裁判による決議とは異なります。当事者同士の協議となりますので、内容についても、そして決議結果についても、比較的自由だということができるでしょ
う。また、協議内容と同様、手続についても、裁判とは違って、簡易で済むという点も、遺産分割協議のメリットとして挙げられます。
遺産分割協議においては、相続人全員の参加は必要ですが、この相続人の間で協議して決めればよいので、たとえばケースバイケースの分割を行うこともできまうし、遺言とは別のかたちでの分割を協議して合意して決める、という事も可能だったりするのです。
また、費用の面でも、遺産分割協議にはメリットがあるといってよいでしょう。裁判で相続を争うのに比べて、費用としてはかなり安く抑えられます。裁判費用は高額になりがちですが、遺産分割協議の場合には、話し合いがスムーズにいけば、特段の費用は掛かりません。弁護士に相談する場合の費用などをあらかじめ確認しておくと安心ですが、それもマストではありません。
③遺産分割協議のデメリットについて
裁判によらず、遺産分割協議で遺産の相続を決めるというのは、メリットも多くあります。手間や費用といった面でも、裁判と比べて、遺産分割協議で事が済めば、かなりの軽減を図ることができます。
ただ、もちろん、遺産分割協議にはデメリットもあります。遺産分割協議をして、協議分割とする場合のデメリットですが、これは、あくまでも協議である、という点に尽きるでしょう。
つまり、遺産分割協議というのは、強制力がないのです。しかし、遺産分割協議は、全員参加が条件となります。よって、相続人の中で、参加をよしとしない人がいた場合、遺産分割協議が実現しない、ということが起きてしまいます。強制力がない遺産分割協議は、参加しないという相続人に参加を強制することはできないのです。そして、全員参加ではない遺産分割協議は、無効となってしまいます。よって、全員参加をかなえるまでに時間がかかってしまう、ということがデメリットとしてあげられます。
また、たとえ、遺産分割協議が実現したとしても、遺産分割協議においてお互いの言い分が異なってしまい、話し合いがまとまらないということもありまえます。そうなると協議完了まで長引いてしまうことがある、というのも、遺産分割協議のデメリットだといえるでしょう。
① 相続手続き全体の流れを知ろう
相続というのは、だれしも無関係ではありません。しかし、相続に関わるまでは、相続や相続手続きについて、あまり理解をしていないという方が多いのも現実です。
しかし、そうなったときにあわてないよう、相続手続きの全体的な流れを知っておくことは必要です。
そもそも相続手続きですが、これは、被相続人が亡くなった時に、その手続きが開始するといってよいでしょう。
そこからまず、遺言書の有無を確認します。相続というのは、被相続人や相続人の気持ちや意向を尊重することが前提となっており、その点で、ただの法的な手続きとは異なるといってよいでしょう。
そして、誰が何を相続するか、という確認を進めます。この段階で、相続遺産の目録作成というステップを踏むことになります。
また、相続財産を分割する必要がある場合には、遺産分割協議という手続きに進みます。遺産を分割するにあたっても、相続人の意向をまず尊重する、というのが、相続手続きの前提となっています。したがって、遺産分割協議によって、話し合いによる分割の決定がなされるようになるのです。この遺産分割協議は、相続人全員の話し合いが必要です。
それで合意に至らない場合には、調停や審判による解決、ということになります。
②相続手続きの期限
亡くなった方に相続すべき財産があった場合、相続手続きが必要となります。この相続手続きですが、手続きの最後には、相続税の納付が必要となります。よって、納付期限までの時間が、実質的な相続手続きの期限ということができるでしょう。
相続手続きにおいて、最後のゴールというのは、すなわち相続税の納付となりますが、相続手続きのスタートはいつとなるでしょうか。これは、被相続人が死亡した日、といってよいでしょう。
そして、相続税の申告と納税は、被相続人が死亡した日の翌日から数えて10ヵ月以内に行わなければなりません。この10か月というのが、相続手続きの期限といえます。
この10ヶ月の間に、相続手続きとしてやるべきことは、かなりの量があるとえいます。遺言書の確認や、相続人の確認、そして遺産の分割といったことが必要となります。
こういった手続きに集中する時間があればよいですが、そうではない方、仕事や子育てがある、という方も少なくありません。そういった場合には、司法書士などに相談をするというのも、一つの選択肢です。期限内に相続手続きを終わらせるためには、そういったプロの手を借りるというのも効率的ですし、トラブルを防ぐという意味でも安心ができるといえるでしょう。
③相続手続き、各ステップのポイント
相続手続きというのは、いくつかのステップとして確認していくとわかりやすいといえます。また、そういったステップのそれぞれに、確認したいポイントもありますので、あわせて押させておきましょう。
まず第一ステップとしては、遺産の確認です。どういった遺産があるか、そして債務があるか、という事を確認します。このときに、葬儀費用などをこの遺産から差し引くような手続きも可能ですので、チェックしておきましょう。
次のステップとしては、遺言書の確認です。このポイントとしては、ただ確認するだけではなく、家庭裁判所による遺言状の検認の手続きも必要、ということです。
そして次に、相続人の確認をします。このときに必要となるのが、戸籍謄本です。すべての相続人、そして被相続人の戸籍謄本を取り寄せての確認となります。
また、同時に遺産の評価を行います。分割するにあたっては、どれだけの価値があるものか確認画必要だからです。
そして最後に、遺産の分割となります。この分割においては、遺産分割協議を行い、その結果を遺産分割協議書のかたちで作成します。
遺産分割協議がまとまらない場合には、さらに調停へと進みます。こういった各ステップにおいて、特に相続人の意見がまとまらない場合、難航することも考えられます。そういった際には、司法書士や弁護士のアドバイスを求めるのも、助けになるといえます。
①遺産分割協議とは
遺産というのは、相続されるまでは、相続人全員の共有財産となります。もし、相続人が一人であれば、すぐに相続が可能ですし、分割の必要はありません。
しかし、通常、相続人が2人以上というのが多いケースとなり、このように相続人が複数の場合には、その分割についてきちんと決める必要があるのです。こういった決議は、そう簡単には決まりませんので、その間は、遺産というのは相続人全員の共同相続財産となるわけです。
こういった、相続人での遺産の分割について話し合い、決めるのが、遺産分割協議、と呼ばれるものとなります。みなが一旦共同で相続した財産を、誰に、そしてどのように分割するのかを決めるための協議といってよいでしょう。
この遺産分割協議には大前提があります。それは、相続人全ての参加が必要、ということです。たとえ1名でも不参加な相続人がいた場合には、せっかく開催した遺産分割協議自体が無効となってしまいますので、注意が必要です。たとえ、行方不明だったり、音信不通だったとしても、その人を除いて成立するわけではありません。そういった場合には、行方不明、生存不明の人について、所定の手続きが必要となり、その上での開催となります。
②遺産分割協議書について
遺産分割協議において、遺産を誰がどう分割して相続をするか、全員で決めるようになります。こうして、遺産分割協議が成立した場合、その結果についての書類を作成するようになります。これが、遺産分割協議書、都呼ばれるものです。基本的には、遺産分割協議書は相続人が1人1通ずつ所有するようになりますので、相続人の数だけ作成するようになります。そして、その遺産分割協議書に対して、全員が署名、捺印をするわけです。
この遺産分割協議書ですが、絶対に作成が必要と定められているわけではありません。相続のかたちによっては、遺産分割協議書は不要という場合もあります。しかし、相続の対象となっているのが不動産などであれば、その相続にあたっては、所有権の移転登記が必要となりますが、その手続きにおいて遺産分割協議書を添付する必要があるのです。
遺産分割協議書を作成するには、遺産分割協議の内容をまとめるようになります。その上で、遺産の相続人全てが署名捺印をすれば、あとは、それぞれが名義変更手続きなどをするにあたっても、手続きがスムーズに進むようになります。また、こういった遺産分割協議書というのは、協議の後のトラブル防止のためにも、作成するほうがベターだということもいえるでしょう。
③遺産分割協議の開催において
遺産分割協議においては、相続人の全員参加が必要となりますが、それを確認するためにも、被相続人の戸籍や除籍、改製原戸籍などを、すべて取り寄せて確認するようになります。こうすることによって、戸籍上の相続人をあらためてしっかり確認するためです。こうした上で、相続手続きを進められるようになります。
また、遺産分割協議の参加者については、たとえ子供でも、不参加でよいという訳にはいきません。もし、相続人とされる人中に子ども、つまりは未成年者がいる場合は、その未成年者の親権者が法定代理人として協議への参加が求められます。ただ、こういった場合、その親権者本人も相続である、というような場合が少なくありません。そういった場合には、家庭裁判所によって、特別代理人が選任されるようになります。こうすることで、その親権者と、未成年者の利益相反を防ぐためです。
また、相続人として胎児もカウントされます。相続においては、胎児も生まれたものとみなされるからです。さらに、胎児については、代理人を立てて遺産分割協議を進める、というわけにはいきません。胎児の誕生以降に、協議を行う必要があります。そして、この生まれた子供に対しても、親が相続人であるような場合には、特別代理人を立てるようになります。
相続の手続きに関わる専門家や、相続の相談を受け付けるコンサルタントのウェブサイトが増えています。
深刻な争いでは弁護士を立てて数年がかりで争うこともありますし、相続対策で不動産経営にのりだす人の話を聞いたことがある人もいるかもしれません。生命保険会社が相続や遺言のセミナーを開催していて、都市部では盛況を呈しています。
ここでは相続の手続きに関わる人として士業を取り上げて、彼らができる仕事の違いや関わり方をみていきましょう。
国家資格として相続に関わる業務を行う専門家としては、弁護士・税理士・司法書士・行政書士が挙げられます。このほか相続した土地の測量は土地家屋調査士が、不動産の鑑定は不動産鑑定士が行うことがありますが、土地家屋調査士や不動産鑑定士は相続で生じる仕事のごく一部に関わってくるだけですのでここでは述べません。
このうち弁護士は、相続を巡る紛争が深刻になってしまった場合に関係者の代理人として他の関係者と交渉にあたったり、家庭裁判所への遺産分割調停その他の手続きの代理人として相続紛争の解決にあたります。最近は法律事務所(弁護士の事務所)でも、紛争になる前の相談や遺言作成の手続きを行うところも増えてきています。
相続の手続きの大部分は、紛争にならずに完了します。こうした局面で相談を受けたり仕事を進めることになるのは弁護士よりも、税理士と司法書士です。他に行政書士も相続の相談や手続きに関わるのですが、行政書士は遺言書や遺産分割協議書の作成を行うのが一般的です。こうした業務は弁護士や司法書士も行うことができるため、どうしても行政書士に相続の手続きを頼まなければならない、ということはあまりありません。
税理士と司法書士の仕事の範囲は、相続の手続きではほとんど重なりません。税理士は相続人から依頼を受けて相続税の申告をしたり、相続税の節税対策の相談に応じるのが主な仕事です。事業を営んでいる人の相続では、引き継がれた後の事業の会計や税務申告に引き続き関わっていくということもあります。
税理士と司法書士の仕事が重なる部分としては、手続きをはじめるにあたってまず法定相続人が誰であるかを調べる、そのために戸籍の記録を収集することが挙げられます。このために、税理士も司法書士も依頼人や相続人の戸籍の記録、つまり戸籍全部事項証明書や原戸籍謄本・除籍謄本などを発行してもらうことができるので、相続人を調査してもらうだけであれば税理士も司法書士も同様の結果が得られるはずです。相続人を調査してもらう費用は事務所ごとに異なっていますが、傾向として弁護士の費用が高く、税理士・司法書士・行政書士は費用が高いところと安いところの幅が大きいようです。
税理士は相続手続きで相続税の申告や相続を巡る節税対策の相談を受ける、つまり税務上の問題を担当する専門家です。
これに対して司法書士の専門分野は、不動産の名義変更、すなわち相続登記です。不動産の登記は弁護士と司法書士しか行うことはできませんが、弁護士が不動産登記を代理することはあまりありませんので、一般の人が不動産の名義を変えたいと考えた場合まず考えるのは司法書士に依頼することになるでしょう。
間違って行政書士に依頼してしまう人もいますが、正しく運営されている行政書士事務所では、ウェブサイトにも不動産登記の手続きは提携している司法書士に依頼するとしっかり書いてあります。こうした事務所であれば、相続の相談先をまず行政書士にしてもかまいません。
司法書士は不動産の相続登記を扱う関係上、法定相続人の調査ができ、相続登記のために必要な遺産分割協議書の作成をすることができます。
あまり知られていないかもしれませんが、司法書士は裁判所に提出するさまざまな書類を作成することもできます。弁護士を代理人にせずに遺産分割の調停を申し立てたり、相続財産がなく借金が残っている場合などは相続放棄の申立の書類も作成できるため、弁護士を使わずに安く裁判手続きを利用したい場合には相談してみるとよいでしょう。このように相続を巡る相談先はさまざまですので、各事務所のウェブサイトをよく読み、他のウェブサイトと比べてみることと、無料相談があるなら積極的に利用してみることをおすすめします。"
①不動産の相続 相続登記について
亡くなった方から相続する遺産にも、色々な種類があります。現金預金の場合もあれば、不動産の場合もあるでしょう。現金預金の場合よりも、不動産の方がより相続の手続きが複雑だとも言われます。それは、相続登記が必要となるからです。
そのため、現金預金の相続であれば不要であっても、不動産相続の場合には、司法書士などに相談するという場合も多くみられます。
ある不動産が相続の対象となった場合、所有者が死亡し、相続が開始された時に相続人に所有権が移転するようになります。ただ、これだけでは、不動産の名義は、旧所有者のままです。
そのため、この名義を変更するために、相続登記を行うのです。
実際、古い名義のだと、相続をしたとしても、その不動産を売却する、担保に入れる、ということも実質できないわけですので、登記が必要となってきます。
このように、相続登記には、一定の手続きが必要になります。こういった登記手続きは、自分ですることも可能ですが、特に仕事などで時間のない方、登記の手続きなどに詳しくない方は、司法書士は弁護士に相談をしてみるとよいでしょう。相続登記に必要な手続きや書類、税金などに対応をしてもらえます。
②相続登記を自分でする場合
相続登記については、司法書士に相談をして手続きをする方が多いものです。ただ、もし、相続登記が複雑すぎるようなことがなければ、相続登記は自分ですることもできます。
自分でできるレベルの相続登記なのか、それとも司法書士に相談したほうがいいレベルのものなのか、というのは、一概こうと判断することはできません。
ただ、その複雑さをまず確認するためには、まず戸籍などを確認してみるようにしましょう。こうすることで、相続について関与してくる登場人物、すなわち相続人などを洗い出すことが必要となってきます。実際、こういった作業を行うなかで、はじめは基本的な相続で、そう難しいことはない、と思っていたものが、実は複雑だった、という事が判明してくる場合もあります。
これまで知らなかった親戚がいたり、ということも、少なくありません。そういった確認を経て、やはり自分一人の力で相続登記をするのが難しいかもしれない、と感じた場合には、司法書士であったり、弁護士などに相談してみるとよいでしょう。実際、相続登記は、内容によっては時間が思う以上にかかってしまう場合もあります。司法書士や弁護士に相談する際には、自分で確認をした戸籍などの資料も持参して相談するとより効率がよいといえるでしょう。
③相続登記の手続きの流れについて
相続登記を司法書士に相談するにあたって、まず自分でも、相続登記の流れを理解しておくことをおすすめします。たとえ自分で相続登記をしないとしても、どういった流れで手続きが進むのかを理解しておくことは大切です。また、最初の戸籍確認などについては、司法書士に相談をする前に、あらかじめ自分でも確認してみるのもよいでしょう。
まず、相続登記にあたって、登記事項証明書、戸籍、住民票、評価証明書等を取得します。こういった資料を集めることによって、所有権を確認し、相続人を確認していくのです。
こういった情報が確定したら、次に相続登記申請書類の作成をします。 相続登記申請書ができあがったら、実際に申請をしますが、これは郵送でも可能です。この申請先ですが、法務局となります。
相続登記申請書を提出するときに必要となるものとしては、登記原因証明情報や、住所証明情報、そして登記にかかる登録免許税等がありますので、事前に確認をしておきましょう。
また、この相続登記の申請について、法務局側での期限の定めなどは特にありませんが、遅くなってよいことはありません。時間があきすぎると、逆に手続きが複雑化してしまうこともあり得ますので、できるだけ早い申請をおすすめします。
①相続手続きとは?
ある方が亡くなったときに、その方に相続すべき財産などがあった場合、それを相続するためには、相続手続きが発生します。
相続手続きとしてどういったことが必要であるかを確認するにあたっては、まず、遺産にどういったものがあるかを確認することが必要です。
たとえ、遺言があったとしても、その遺言に記載のない遺産がある場合もありますので、しっかりと確認することが必要です。
具体的には、銀行預金や現金、そして保険金であったり株、会員権なども含まれます。また、土地や家、ビル、マンションといった不動産もありますし、その他自動車なども相続の対象となってきます。
こういったものを、だれが相続するのかを決めるのが、相続手続きの次のステップとなります。これには戸籍の確認などが発生します。
そして、遺産を、どう相続するのかを、相続人同士で決めていきます。そして分割が決まれば、遺産分割協議書を作成します。
そして最後に、出来上がった遺産分割協議書や、その他相続手続きに必要な書面に、それぞれの相続人の署名と捺印をしていきます。
これで大枠の流れとなりますが、亡くなった方の残した財産、たとえば現金や預金、不動産や株、そして保険金などについての相続については、それぞれ必要な手続きが異なってきますので注意が必要です。
②相続手続きに必要な書類関係
相続手続きにあたっては、様々な書類が必要となってきます。相続財産の確認、そして相続人の確認にあたっては、きちんとした法的な確認が必要となるためです。
また、相続財産が現金預金であるか、不動産であるか、といった点で、必要な書類や手続きにも違いがでてきます。
相続財産に関する書類としては、預貯金であれば銀行の所定用紙、保険金は保険会社によって異なるの所定の用紙、株の場合には、証券会社の所定用紙があります。また、相続財産が不動産であれば、登記申請書、評価証明書等が必要となってきます。
また同時に、相続人の確認のための戸籍謄本や相続関係説明図、そして相続の分割のための確認書類として、相続分割協議書なども用意していきます。
こういった書類を準備するのは、慣れていれば自分でも対応が可能ですが、初めてだと大変だと感じる人も少なくありません。また、相続人が少なく、相続財産がシンプルである場合には、相続手続きを自分ですることも可能ですが、複雑である場合には、司法書士に相談をして、一部、もしくは全部の手続きをお願いするというケースも多くなってきます。
また、手続きに時間をかけたくない、という場合にも、司法書士への相談を検討してみるとよいでしょう。
③相続手続きを行う際の注意点
相続手続きというのは、思わぬ抜けで不備が生じてしまうこともありますので、注意しながら進めていく必要があります。
たとえば、相続手続きの最初の段階において、被相続人の戸籍を確認し、相続人を確認していくようになりますが、この際、確認すべき被相続人の戸籍謄本は、1つではないという点に注意が必要です。出生から死亡までの戸籍謄本等というのは、実は1つではなく、たとえば原戸籍や除籍謄本といったものも存在しています。そういったものも、くまなくチェックすることが必要となりますので、洩れのないようにしましょう。
また、相続手続きの中で、遺産分割協議書の作成にあたって、遺産分割協議を行う場合がありますが、この遺産分割協議を行うにあたっては、相続人全員の参加がマストである、という点も注意しておきましょう。
遺産分割協議は、相続人全員の参加が必要となり、たとえ1人でも不参加であると、その遺産分割協議自体が無効となってしまいます。遺産の分割が決定したと思っても、参加者の時点で不備があると、遺産分割協議書の作成もできないということになってしまいます。
こういった注意点の確認のためにも、分割手続きを始めるにあたっては、司法書士といったプロに相談するのも、1つの手段といえるでしょう。