相続手続き基礎知識

相続財産が不動産しかない場合の遺産分割の方法について

人が亡くなると、その方の持っていた財産は、配偶者やお子さんに相続されるのが普通です。
亡くなった方に遺言がなかった場合には、民法の規定に従って、配偶者の方やお子さん、直系の尊属の方や兄弟姉妹など、民法の規定に基づき、相続人となり得る特定の方が、法定相続人として、遺産を相続します。

法定相続人が複数いる場合には、相続財産の分割協議を行い、協議がまとまった場合には、その協議の内容に基づいて遺産の相続が行われます。

この遺産分割協議がまとまらなかった場合には、民法の定める一定の基準に基づいて、法定相続分に従った財産の相続が行われます。

現金の相続財産が、仮に2000万円であったとし、亡くなられた方(被相続人と言います)に配偶者とお子さんが2人いたとすると、特段の事情がなかった場合には、配偶者の方の相続分が2分の1で1000万円、お子さんそれぞれの相続分が4分の1ですので、各々500万円を受け継ぐことになります。

ここでは、相続財産が現金であった場合の事例を紹介しましたが、相続財産が株式や債券等の有価証券、金やプラチナなどの金属、また不動産など他の種類の資産であった場合でも、基本的に、それぞれの相続分に応じて遺産の相続を行うことになります。
ただし、相続財産が不動産であった場合には、これの処分方法が大きな課題となります。

現金が相続財産であった場合には、それを相続分に応じてそっくりそのまま分けるだけですので、話は非常に明快です。
しかし、相続財産が不動産であった場合、ましてや、そこに相続人の誰かが住んでいた場合となると、法律上の規定云々とは別にして、個人の生活など現実的な問題が生まれ、話が非常に複雑になります。
これにより、相続人同士がいがみ合ったりすることもありますので、慎重な対応が求められることになります。

遺産相続の相続分については、先に紹介したとおりですが、基本的には、全ての相続財産の現金価値を算定し、それに基づいて遺産分割を行います。
つまり、相続財産が不動産以外にない場合は、不動産を売却して現金に換え、それをそれぞれの相続分に応じて相続するというの方法が考えられます。

相続人の遺産分割協議がまとまらない場合には、建前の話、あるいは現実的な話として、司法に判断を委ねることになります。
家庭裁判所で裁判となった場合には、相続人について配慮する特段の事情が存在しない一般的な事例の場合には、相続財産である不動産を売却して現金に換え、相続分に応じた遺産分割という結論になることも多いでしょう。

ただし、日本人は、特に年配者を中心にして、土地や建物等の不動産の所有に対する特別な強い感情を持たれている方が現在でも少なくないようです。
個人の感情や愛着の問題が絡んでくると、問題がどんどん複雑になり、問題の解決が遠のく場合もあります。

法律上の物の見方は至極明快ですが、感情が入り込んでしまい、相続財産のスムーズな相続が行われないケースも散見されます。
つまり、不動産を売却して現金に換えることに対する抵抗が生じる場合があります。
この場合には、たとえば相続人Aが不動産を承継し、別の相続人BやCに対して、不動産の売却価値に見合う相続分相当の現金を支払うという方法も検討する必要があるでしょう。 

遺産相続の協議においては、血縁のある身近な人間同士であるが故に、感情がこじれ合い、非常に揉めるケースもあります。
相続人同士がいがみ合う事態となることがないよう、お体の元気なうちに、相続財産のあり様について、関係者であらかじめ協議しておくと良いでしょう。 

また、不動産は、現金とは異なり、先に紹介した事例のように、理屈通りに現金化しにくい特性がありますので、これの取り扱いについては特に慎重に協議しておくようにしましょう。

相続において取引銀行に対する手続きガイド

被相続人が死亡した場合に重要とされるのが、生前に取引をしていた銀行に対する諸々の手続きとされております。
特に相続権を有している法定相続人にとりましては、被相続人の保有資産の額を確定することが重要となるために急がなければならない作業であると考えられております。
当然のことながら何も手続きを行わなければ、被相続人が死亡した後にその銀行口座は凍結状態となってしまい、預貯金を自由に解約したり払い戻しをすることが不可能となってしまうのであります。
ちなみにこの銀行口座の凍結は銀行が被相続人の死亡を知ったタイミングとなりますので、知るはずがないタイミングであれば出金自体は可能であると思われます。
しかしながら複数の相続人が存在する場合には、慎重に行動をしないと後々トラブルの元となってしまう事例も少なくないとされており、葬儀費用や当面の生活費などが必要とされる場合には出金の記録と使途明細を確実に管理する必要があるのです。
そして口座が凍結されている場合には、速やかに諸々の手続きを進める必要性があります。
例 えばその銀行口座に何らかの引き落とし契約があった場合には、凍結により引き落としが実行されずに滞納状態となってしまう可能性があるからなのです。
ちなみに法律上からしますと、銀行への預貯金などは被相続人が死亡した時点で法定相続人に相続権が発生すると考えるならば、正式な遺産の分割を待たずにそれぞれの相続人が法定相続分に相当する金額の払い戻しを銀行へ請求することが可能とされております。 しかしながら個別に払い戻し請求があったとしても銀行が応じることはなく、基本的には遺産分割協議書などの書類が揃っていないと払い戻しに応じることはできないとされております。
これは個別の請求に対応してしまうことにより、相続のトラブルに銀行側が巻き込まれてしまうリスクを回避するために当然の措置であり、遺族側からすれば面倒な作業となるのですが、基本的には法定相続人全員による署名および押印された遺産分割協議書を準備する必要があるのです。
また預金金額が極めて少額の場合には放置することも可能ではあります。
実際に様々な事情により放置されてしまっている預金口座は非常に多いとされており、最終の取引日から10年程度放置された口座は消滅時効が成立することとされております。
ただし口座の消滅は預金が消滅してしまうことを表しているのではなく、手続きを行えば払い戻しは可能となるとされているのであります。 それでは実際に銀行への手続きに関してなのですが、例えば葬儀費用に充当するため緊急に払い戻しが必要となる場合が考えられます。 このような場合には遺産分割の協議が行われる前となりますので遺産分割協議書がない状態なのですが、相続人全員の署名および押印された払い戻し依頼書があれば払い戻しが可能とされております。
ただし被相続人の戸籍謄本や相続人全員の戸籍抄本および印鑑証明書が必要となりますので、遠方に相続人が住んでいる場合には書類をそろえることが簡単ではないとされています。
それから遺産分割協議が行われた後に銀行へ払い戻し請求をする場合には、相続人全員の署名および押印がなされた遺産分割協議書を提出することで応じてもらうこととなります。 ここで注意しなければならない点とされておりますのが遺産分割協議書の原本を提出することであり、コピーを提出した場合には払い戻しに応じてもらえない可能性があります。
また遺産分割協議書の内容によりましては払い戻しに応じてもらえない場合もあるとされておりますので、内容に不備や不審な点が無いように注意しなければならないとされています。
また遺言書が存在する場合には、遺言書の原本を提示することにより銀行へ払い戻しの請求をすることが可能とされております。

前妻の子供がいる場合の相続手続き

遺産相続の権利は配偶者やその子供にありますが、これは死亡時の状況に限定されず、故人の戸籍を全て遡り権利のある人物全員の特定が行われます。
そのため当然前妻の子供であっても権利が発生するため、相続手続きが必要になります。
しかし、一般的に離婚後に離れ離れとなった父親や母親と連絡を取ることはあっても、その新たな配偶者や子供とは密に連絡を取ることはあまり考えられません。
そのため実の父親や母親が死亡した際に勝手に相続の手続きが完了してしまわないか心配される方が多いのですが、基本的にはそうした事は不可能です。
相続手続きの際には故人の生前の記録が全て記載されている戸籍謄本を用意する必要があります。そこには当然前妻の子供の名前も記載されているので、相続手続きの際には全ての情報が明らかにされます。そして明らかになった法定相続人全ての署名と捺印、さらには印鑑証明書まで必要となるので知らないうちに相続が終わっていたということは基本的にはありません。
ここで基本的にと書いているのは、故人が生前に遺言等で後妻とその子供だけに相続を限定すると示した場合では、ケースバイケースですが相手方で相続が完了することもあります。
しかし、こうした生前の遺言も法定相続人であれば事前に検索し閲覧することが可能なので、多くの場合ではこうした知らないうちに相続が終わっていたということは起こりません。
ドラマやドキュメンタリーなどでよく目にする光景として、遺産相続のトラブルがあります。実際にはこのような泥沼化するケースは少ないのですが、ごくまれに弁護士などに持ち込まれるトラブルで複雑化する場合があります。
よくドラマでも衝撃的な事実として描かれることですが、故人に前妻がおり前妻の子供が相続の権利を訴えてやってくるというシーンです。これは何もドラマやテレビだけの話ではなく、離婚率が上昇している現代では現在進行形で起こっていることで、今後も頻繁に相談が増えると予想されています。
こうしたケースが判明する理由としては、遺産の相続手続きの際には故人の戸籍を取り寄せる必要があるため、ここで故人の前妻や子供の有無など全てが明らかになるためです。
そして遺産相続を滞りなく行うためには法定相続人全ての署名と捺印、印鑑証明書が必要となるためこうした前妻の子供にも遺産分割協議に参加してもらう必要があるのです。
感情的には突然現れた前妻の子供に父親・夫の遺産を相続させるのは抵抗があるかも知れませんが、法的には死亡時の妻と子供と全く遜色なく権利を有するので、遺言など特別なケースが存在しない限りは必ず連絡して遺産分割協議に参加して相続手続きを行う必要があります。
法的に遺産を相続する権利がある人物は配偶者や子供などが当てはまりますが、これは亡くなった当時の家族構成だけでなく、故人の生前を遡り前妻の子供にも法的な権限が存在します。こうした前妻の子供が法定相続人として登場するケースは、離婚率が上昇している現代では比較的よく起こる問題として弁護士などにも相談が寄せられます。
遺産を相続する際には相続手続きとして法定相続人全ての署名と捺印・印鑑証明書を提出する必要があるため、勝手に手続きを進めることも進められることもありません。
そのため前妻との間に出来た子供で、例え何年も故人と会っていない場合にも法的に権利を持つ相続人として登場するのです。しかし、いくら法律で権利が認められているとは言え、故人の心情としては新たな再婚相手の元で暮らし子供よりも、現在の妻と子供に財産を残したいと考えるのはよく起こることです。
そのため前妻の子供への相続を回避する手立てとしては、生前に遺言で再婚後の妻と子供に全財産を相続させるという旨を記載しておくことです。こうする事で現在の妻と子供が不利益を被ることを回避することが可能で、手続きによってはこうした遺言だけで金融機関から遺産を引き出すことも可能なので、相続手続きの多くのトラブルを未然に防ぐことが出来ます。

 

子供がいない場合にこそ遺言は重要です

男女ともに生涯未婚率が高くなってきた現代。子供を持たないまま亡くなる方も少なくないでしょう。
この場合、遺産の相続先は誰になるのでしょうか。
通常子供がいない方が亡くなると、その財産は直系尊属、つまり被相続人の親に相続されます。しかし、高齢の方だった場合は親も既に亡くなっていることが多いと言えます。このように子供も親もいない場合は、兄弟姉妹が相続人となります。
では兄弟姉妹のみで話し合えば事が足りるのかと言うと、また別の問題が浮上する可能性があります。被相続人が高齢となると当然その兄弟姉妹も高齢であり、既に亡くなっている方がいるかもしれないからです。既に死亡した兄弟姉妹がいる時は、被相続人の遺産は兄弟姉妹の子供(被相続人にとっての甥や姪)に代襲相続されます。
相続人の人数は増えれば増えるほど遺産相続の話し合いは複雑になっていきますし、親戚づきあいの濃さによってはその時初めて話した、という間柄もあるかもしれません。もし特定の甥や姪に世話になっているなど、財産を遺したい人がいる場合は遺言を作成しておくことをおすすめします。財産の行き先を決められるだけでなく、無用な話し合いに彼らが時間を取られることを防ぐ役割もあります。

子供がいない夫婦の場合、どちらかが亡くなればその財産は全て配偶者に相続されるので遺言を作成する必要はない、と考えている方は注意が必要です。
法律では配偶者に全財産が相続される訳では無く、遺産相続の法的な権利を持つ人が他にもいるのです。
たとえば夫が遺言をせず亡くなった場合、相続人は妻だけでなく夫の父母、祖父母も含まれます。既に夫の父母や祖父母も亡くなっているだろうから、やっぱり遺言は必要ない、とするのは早計です。その場合は夫の兄弟姉妹に相続は渡り、兄弟姉妹が亡くなっているならその子供である夫の甥や姪に代襲相続されるからです。
女性は男性よりも平均寿命が長いというデータがあります。その一方で、夫婦の共同預貯金や不動産は夫の単独名義になっていることが多いようです。
このことから、遺言を残しておかないと夫に先立たれた妻が苦労する、というパターンが発生しやすいと言えます。
たとえ夫側の親族に遺産を相続する意思が無く、スムーズに放棄してくれそうな場合でも手間はかかります。口座名義人の死亡により凍結された夫名義の預貯金口座を解約するのにも、相続人たちの協力が必要なのです。
配偶者の死という辛い出来事に会ったパートナーを出来るだけわずらわせないよう、遺言は検討しておきましょう。
子供がいない夫婦で、夫が遺言を残さずに亡くなってしまった時に想定されるトラブルをもう少し詳しく見て行きましょう。
相続人として妻のほかに夫の妹がいる場合をモデルとします。法定相続の割合は妻に4分の3、妹に4分の1と決まっています。この時点で妻に相続される遺産が減ってしまう、ということがわかりますね。しかも主な財産が夫婦で住んできた不動産しかない場合、もっと複雑になってしまいます。
夫の妹が相続分の権利を主張して来たら、夫の財産の総額の4分の1を支払わなくてはいけません。もし現金が4分の1に満たない場合、不動産を売却してお金を工面することになるかもしれないのです。妻は夫も家も失うことになります。その他にも、夫名義の預金口座が凍結されてしまった時は、妹の協力が無ければその口座に入っているお金を妻が使うことができません。夫が家計のほとんどを管理していた場合、妹と話が着くまで妻は生活費の心配をしなければいけません。
夫が先祖代々から受け継いできた不動産などであればまだ我慢できるでしょうが、上記は結婚後夫婦が協力して築いてきた財産にも当てはまります。その分まで夫の妹に関与されるのは、妻もなかなか納得できないでしょう。
どのような親族関係でも、子供がいないなら遺言の手続きをおすすめします。

相続人に外国籍がいる場合、どうすればいいの?

レアなケースではありますが、稀にこのようなご相談を受けることがあります。まず、外国籍の相続人がいる場合に対し二通りの考え方が存在し、「相続統一」と「相続分割」と呼びます。ここでは日本が採択している法律、「相続統一」についてご説明させていただきます。 「相続統一」とは相続は被相続人が属している国の法律に従って行われるわけです。そこに相続人の国籍、ビザの種類や有無、在留資格はまったく関係がなく、国が定めている相続人としての権利と義務が生じます。  さて、次に相続のために必要なものは何かです。これは実は日本国籍を持つ相続人と変わりません。証明書類としては、被相続人との関係が記載されている公文書。要は戸籍標本ないしは除籍標本。次に住所の証明する書類である住民票の写しです。しかしここで注意が必要なのは、外国籍の方の住民票の写しには平成24年7月以前の変更履歴、上陸許可年月日が記載されていないため、過去にさかのぼった登録事項が必要な方には法務省に「外国人登録原票の写し」を請求しなければいけません。

相続に対する基礎知識と遺言書がある場合の相続手続きについて

相続とは被相続人が死亡した際に相続人が財産などを受け継ぐことを指しており、相続手続きをするためには被相続人と相続人の関係をしっかりと理解する必要があります。そして相続する財産は現金以外に預貯金や土地などの不動産、および株式やゴルフ会員権や自動車などが含まれます。ただし墓地や墓石および仏壇仏具などは相続財産には含まないものとしており、さらには被相続人にかけられていた生命保険に関しては受取人に指定されている人の財産として相続対象の財産からは外されます。また当然ながら被相続人が受けとっていた年金の受給権も相続されることはありません。そして、注意しておきたいのは相続対象となる財産がプラスの財産ばかりではなく、マイナスとなる借金の財産も存在しているということであります。このマイナスの財産とは被相続人が抱えていた借金や保証による債務などが含まれており、遺言書の有無に関わらず相続手続きを開始する際にはプラス遺産だけでなくマイナスとなる遺産もしっかりと調査しなければならないのです。そしてプラスとなる遺産よりもマイナスとなる遺産が大きい場合には、遺言書が存在したとしましても遺産放棄の手続きを速やかに済ませないと全ての遺産を相続する義務を負うことになるのであります。ただし特別な事情があることで、相続の放棄手続きが遅れた場合にはこの限りでありません。 そして相続人の対象者は財産を受け取るために相続手続きを行う必要があり、被相続人の遺言書が存在する場合には定められた方法で相続手続きを進める必要があります。この場合にはまず封印されている遺言書を家庭裁判所にて検認を受ける必要があり、相続人およびその代理人の立会いのもとで開封することとされております。ただし公正証書遺言の場合には検認の手続きが不要となっておりますので、近年におきましてはこの公正証書遺言が増加傾向にあるとされております。その後該当する財産に関してプラス部分とマイナス部分をしっかりと調査することになるのですが、相続金額に関わる部分となりますので漏れの無いように気を付ける必要があります。ここでしっかりと相続財産を法定相続人が確認できましたら、遺言に従って相続を執行することとなるのであります。それから注意しておきたいポイントとしまして税金があるのですが、被相続人に納めなければならない所得税などの税金が存在する場合には当然ながら納税手続きをしなければならないのです。また相続を受けた法定相続人は相続税を忘れずに納めなければならないのですが、期日としましては相続開始を知った日から10カ月以内と定められております。 それから、遺産の相続手続きを進める上で重要な項目として遺産分割協議があります。これは被相続人が遺言書を作成していた場合におきましても、法定相続人間で遺産分割を協議しなければならないケースがあるのです。具体的には遺言書の内容が相続割合のみを指定している場合には、相続手続きを進めるために現金以外の財産を分割する場合に協議が必要となるのです。また遺言書の内容を無視して遺産分割をすることも可能とされており、法定相続人の全員が賛同するならば遺言内容と異なる遺産分割をすることも可能とされております。それから相続には遺留分の存在があることも重要であり、遺言書の内容によりまして遺留分が侵害されてしまっている場合にはその権利者が遺留分減殺請求を行使することが可能であるとされています。ただし遺留分減殺請求権は、権利者が減殺すべき権利を知ってから1年および権利の存在を知らなかったとしても10年経過してしまうと失効するとされていますので、認識しておく必要があります。それからこれらの相続に関する問題は非常に複雑であり、法定相続人の人数が多いと相続手続きを進めることが非常に難しいとされております。そこで相続手続きの専門家に依頼することが推奨されており、一般的には司法書士や弁護士に依頼することが良い方法であると考えられています。

未登記の不動産がある場合の相続手続きについて

相続が開始しますと、遺言書のある場合はそれに沿って遺言執行者が、また遺言書がない場合は相続人による遺産分割協議のあとそれぞれの相続人が登記などの相続手続きをします。相続財産を調査する時点で分かることですが、中には未登記の不動産が含まれている場合があります。

不動産の登記といえば、建物の状況を登録する表示登記とその不動産の所有権に関する登記があります、不動産の中でも土地に関しては個人所有が推定されるもので登記がされていないものはほとんどありませんから、問題となるのは建物です。建物に対する固定資産税を決定する元になっているのは登記簿ではなく管轄の自治体が管理する課税台帳です。このため固定資産税を払っているから当然登記もされていると勘違いされることがよくあります。

また、母屋以外に車庫や小屋を追加してたてた場合には自治体が把握できずに見逃されている場合もあります。建物を未登記のままにしておいても罰則があるわけではありません。その建物を売買する時には登記されていなければなりませんが、そうでなければ登記にかかる費用を節約するために未登記のままにしておくことも可能です。相続人の意向によって相続手続きの形もいくつかのパターンが考えられます。

 

未登記の不動産を相続することが決まり相続手続きをする際に押さえたいポイントがふたつあります。

一つ目は必ずしも登記は必要ではないということです。一般に建物の表示の登記(新築時の表題登記、取り壊し時の減失登記など)は1ヶ月以内にしなければ過料がかせられると言われますが、実際過料は罰金ではなく請求されたケースは報告されていません。土地と違い建物は老朽化しいずれは無くなる可能性があります。建物の登記、特に所有権に関する登記については登録免許税がかかってきますので、それをもったいないと考えるのなら自治体の窓口で、未登記のままになっている建物の名義変更を提出して済ますことも出来ます。これにより納税義務者が変更され、それ以降は自治体が所有者である事を証明してくれます。

二つ目は相続した建物を売却したり譲ったりする予定がある場合、また建物の立っている土地が他人のものである場合には登記をしたほうが良いという点です。いずれも建物に対する所有権を主張できないといけないからです。法務局で建物の表示登記と所有権登記を順に行います。自分でも相続手続きはできますが、表示登記は土地家屋調査士、所有権の登記は司法書士に頼むとスムーズです。

 

未登記の建物を登記する必要がある場合の相続手続きはどのような流れになるのでしょうか。遺産分割協議書には未登記になっている土地や建物を特定するために自治体から通知されてくる固定資産評価証明書を使います。税金は自治体の独自の調査で決定された不動産の所有者に対して課せられているからです。遺産分割協議書の作成されるなど相続の話し合いが終われば、未登記の不動産を相続した人があらためて建物の表題登記をすることができます。

遺産分割協議書、建築確認済み証明書、建築業者の引渡し証明書と印鑑証明書、亡くなった被相続人の最終住民票、図面などの書類を集めます。書類がすべて揃わない場合には土地家屋調査士に依頼することをおすすめします。通常1~2週間程度で表題登記が終わり、所有権保存登記に移ります。こちらは司法書士の管轄になり、やはり1~2週間で新しい権利証を手にすることができます。未登記ではありませんが、もしも相続した建物が古いために取り壊し新築した場合には、相続人による相続登記をする必要はなく、取り壊しによる減失登記だけをすればよいことになっています。未登記の建物の相続手続き自体はそれほど難しいものではありませんが、登記する、しないといった選択肢があるだけに慎重に考えたいものです。

相続人が海外にいる場合の手続きについて

相続人が海外に在住している場合でも、基本的な相続手続きの流れは相続人が全員国内在住の場合と変わりません。被相続人が亡くなり葬儀を行う時点で、遺言の有無、被相続人の財産、全相続人の確定などが終わっていることは滅多にありませんから、改めて相続の大筋についての話し合いのために帰国することになるでしょう。

特に遺産分割協議を行う場合には一度の話し合いではなかなか合意に至ることは難しいものです。このため海外に戻ったのちに電話やメールで話し合いを詰める必要があります。最近ではスカイプなどでビデオ通話もできますので利用すると言葉や表現の行き違いなども起こりにくいのでおすすめです。大筋だけを決めて細部は電話や手紙などで決める方法は、相続人が海外にいる場合だけでなく、国内でも遠方であったり病気などで外出できない相続人がいる場合にはとても便利な方法です。

ただ、全員が合意までに時間がかかったり必要な書類を集めるのが手間取ったりしがちなので、時間に余裕を持って早めに遺産分割協議に取り掛かることが重要です。海外在住の相続人は各種証明書を現地の日本大使館で発行してもらわなくてはなりません。大使館が遠い場合もありますので、必要書類についてはあらかじめ入念に調べることをおすすめします。

 

遺産分割協議を終え、遺産分割協議書を作成する際には相続人全員の署名と捺印が必要です。相続人の中に海外に在住するものがいる場合には、遺産分割協議書を郵送して手続きをしなければなりません。ここで重要になるのが、海外では印鑑証明制度が無いということです。

また、住民票の代わりになるものも別に取得しなければいけません。まず、海外の住所を証明するための在留証明書を取得します。これは遺産分割協議書に記入する住所を公に証明するために必要なのですが、在留証明書の取得は、日本国籍があり3ヶ月以上現地に滞在していなければなりません。

ただ、3ヶ月未満であっても滞在予定があって公共料金の証明書などがあれば取得は可能です。申請には日本国籍を証明する戸籍謄本、パスポートを持参し手数料を1000円前後支払います。次に印鑑証明書の代わりになるサイン証明書を日本大使館で発行してもらいます。必ず相続人本人が遺産分割協議書と(まだサインをしてはいけません)パスポートを持参し、領事の立会いのもとで署名し拇印を押します。さらにサイン証明書を作成してもらい遺産分割協議書と合わせて割印し手数料を2000円前後支払います。こうして出来上がった書類を再び日本へ送り返すことになります。

 

被相続人に負の財産が多い場合には相続放棄という手続きができ、相続人が海外に住んでいる場合においても、申請することができます。ただ相続放棄の申し立ては自分に相続があることを知ってから3ヶ月以内にしなければなりませんので、海外とのやりとりに時間がかかることを想定して早めに手続きに取り掛かることが重要です。被相続人が亡くなる直前に住んでいた住所の管轄の家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出しなければいけませんが郵送で申し立ては可能です。

まず、戸籍謄本を取り寄せ、次に現地の日本大使館へ赴き、日本でいう住民票の役割を果たす在留証明書を発行してもらいます。発行にはパスポート、住所を確認できる書類、3ヶ月以上の滞在を証明できる公共料金の請求書などが必要です。また、裁判所によってはサイン証明書の必要な場合もあるので確認し必要ならば取得しておきます。

最後に相続放棄申述書の書式をダウンロード、プリントアウトして記入します。在留証明書に記載の住所を間違えずに記入したらすべての書類を一緒に家庭裁判所へ郵送します。この後照会書が送付されますので回答して返送すると相続放棄申述受理証明書が送付されてきます。海外の住所で直接やりとりをしたい場合には国際スピード郵便を使うと早くて便利ですから、あらかじめ裁判所からの返信封筒を2通用意して申し立ての際に提出するとスムーズです。

遺言がない場合の相続手続きについて

いざ相続、遺言がない場合

被相続人が亡くなった場合、残された相続人の方々は早速相続手続きを進めていかなければなりません。まず、第一に確認しなければならないのは遺言の有無ですが、公正証書遺言を初めとする遺言が存在しなかった場合は、相続人同士で協議を行い、相続手続きを進めます。これを「遺産分割協議」といいます。相続人の権利については、法定相続分という、一定の権利がありますが、協議がまとまりさえすれば、法定相続分にこだわることなく相続を行う事も可能です。(例えば、長男が全ての財産を継ぐ、等)もし、遺産分割協議を行わなかった場合、「単純承認」をしたことになり、被相続人の死亡時の一切の権利・義務を相続人が相続分に応じて共相続することになります。土地、建物等の不動産が相続財産として存在しない場合には単純承認を行っても問題はないのですが、それらがある場合、遺産分割協議を行っていないと土地の名義変更を行う手続きが煩雑になりますので、相続手続きについては財産の有無に応じて選択をする必要があるでしょう。また、被相続人が財産よりも負債を負っている場合は、負債も含めて一切の相続を放棄する「相続放棄」や一旦財産状況を調査し、相続財産により負債を弁済した後、余りが発生すればそれを相続できる「限定承認」を行う事も視野に入れなければなりません。

記事タイトル:遺言書がなかった場合に想定される事態

一定の財産をお持ちであり、自分の死後に残された財産の行方が気になる方に、遺言がない場合の相続手続きについてご説明いたします。まず、残された方々は、財産の有無に応じて手続きを選択し、被相続人の死亡時の一切の権利・義務を相続人が相続分に応じて共相続する「単純承認」、権利義務を放棄する「相続放棄」、財産がプラスかマイナスか不明であり、調査後プラスだった場合相続する「限定承認」といった手続きがありますが、一定の財産があり、土地・建物等、共同名義になってしまうとなにかと不都合な財産がある場合、相続人同士で協議を行い、相続手続きを進める「遺産分割協議」を行う事でしょう。

もし、相続人が皆金銭に執着がなく、穏やかに協議が進むようであれば安心ですが、お金というものはどうしても世の中の争いの種になりがちです。「遺産分割協議」で協議がまとまらなかった場合、家庭裁判所にて話を行う「遺産分割調停」を、相続人の誰かが、あるいは弁護士を通じて申し立てるでしょう。その後、遺産分割調停でも財産の分割が決まらなかった場合は、「審判」、「訴訟」と移行していきます。そうした、相続人同士の遺産分割についての争いが気になる方には、やはり遺言を残しておくことをお奨めします。

遺言がないと「見なされてしまう」ケースを避けるために

遺産相続は遺言がある場合とない場合で全く様相が異なってきます。遺言がない場合、相続人は「単純相続」「遺産分割協議」「限定承認」「相続放棄」の手続きから選択することになりますが、もし、被相続人に相当な財産がある場合、これらの手続きでは決着がつかず、調停から訴訟といった手続きに移行することも想定されます。相続手続きにまつわるトラブルを後に残される人々に避けさせる為にも遺言を残す事をおすすめしますが、きちんとした形式で遺言を残さなければ、たとえ遺言書を作成していても、「これは遺言ではない」とされてしまう場合もあります。遺言の種類は、主に自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の三種ですが、普通、遺言と聞いてイメージされるのは、相続人が自分の手で記入を行い、保管を行う自筆証書遺言ではないでしょうか。自筆証書遺言は、費用もかからず、誰でも気軽に作成できるものですが、一定のルールに沿わなければ、正式な遺言書として認められない場合があります。特にありがちなのは、全てを自筆で記入せず、一部でも代筆をお願いした場合、日付がない場合、署名押印がない場合は無効とみなされてしまいます。また、パソコンでの記入も無効です。公正証書遺言、秘密証書遺言においては、公正証書役場において、証人を交えて作成されるものなので、遺言書がないと見なされる可能性は排除されます。

相続人に行方不明の人がいる場合手続きの行い方について

遺産の相続というのは非常に大変で、相続人が複数いた場合にはそれぞれに遺産の分配が必要となるため、必ず一堂に会して遺産の相続に関する話合いを行う必要があります。


しかし相続人の中には連絡が取れないため相続の話し合いに参加しない人もいるわけで、その場合連絡が取れない相続人を省いて相続を分配することは可能なのでしょうか。これは結論から言えば、連絡が取れない相続人を省いて相続の話し合いを進めることは原則不可能だといえます。

これは相続に関する法律で、遺産の相続を行う場合には必ず相続人が集まって相続を決めなければならないと定められているからです。しかし行方不明の場合にはそもそも行方が分からない状態ですから、連絡の取りようも無いわけです。その場合、行方不明の相続人を探す必要があるわけです。この行方不明の相続人に関しては3つのパターンがあり連絡先を調べる方法が分からないだけという場合、おそらく生存しているはずだが調べても住所などが特定できない場合、そして7年以上音信普通で生存すら分からない場合の3通りがあります。

これはそれぞれに対処する方法が違いますし、対処法も面倒な場合がありますから弁護士などに相談をして行方不明の相続人の相続をどうするか決めたほうが良いでしょう。

行方不明の相続人を探す場合、まず行わなければいけないのが現住所を把握し特定するということです。

生存しているのが分かっている場合、行方不明といっても連絡が取れる可能性が最も高いのがこのパターンです。この場合、どこにいるのかを正確に把握するために、まず行方不明の相続人の戸籍を追っていく必要があります。戸籍を追っていけば必ず本籍にたどり着きますし、本籍が分かれば本籍地の市役所などで戸籍の附票という書類を発行してもらえるため、現在の住所を特定することが可能になります。現住所が分かればその住所に相続に関する話し合いがあることを知らせる手紙などを送付するか、直接出向いて話をすることも可能になるでしょう。

もしこの段階で相続を行わない相続放棄をした場合には、行方不明だった相続人を除く残りの相続人だけで相続の分配が可能になります。相続放棄を行わなかった場合には、行方不明だった相続人を合わせた全員で相続の分配などの話し合いを行うことで、相続の話し合いを進めることが出来るでしょう。肝心なのは、行方不明の相続人をどうやって見つけ出すかですから、もし自分たちでは難しいと判断した場合には弁護士などに相談をすると良いと思います。

相続人が複数いて連絡が取れない行方不明の状態だった場合、行方不明の相続人を探し出す必要があります。なぜなら相続人が生きている限り、行方不明であっても相続をする権利があるため他の相続人だけの話し合いで相続の分配が出来ないからです。

しかしそどのような手段を用いても生存や現住所が把握できない場合、行方不明の相続人を省いて相続を進めなければいけない状態になるでしょう。その場合家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申し立てを行うことで、行方不明の相続人がいなくても相続の分配を行うことが可能になります。もちろん行方不明の相続人の権利がなくなるわけではなく不在者財産管理人と呼ばれる代理人が行方不明者の代わりに相続分配の会議に参加して相続の話し合いを行うことになります。

しかしすでに7年以上生死が不明の場合、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てすれば行方不明の相続人はすでに亡くなったものとみなすことが可能になるため、行方不明の相続人がいなくても残りの相続人だけで相続の分配を行うことが可能になります。ただし行方不明の相続人に子供がいて、その子供と連絡が取れる場合には、子供が相続を引き継ぐことになりますので、必ず子供の有無などを確認して相続の話し合いを進める必要があるでしょう。

 

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